WordPressで作られたサイトは、ページを表示するたびにサーバーと通信を行いコンテンツを表示する仕組みのため、都度負荷がかかり表示スピードが遅くなる傾向にあります。
実際の制作・保守案件では、画像最適化だけでは改善しきれず、サイト構造や表示ロジックまで含めた対応が必要になるケースが多く見られます。
KUSANAGIやConohaWingなど、WordPressサイトに特化したサーバーへの乗り換えはかなり有効な手段です。ただし、サイト引越しは大掛かりな作業になりますし、せっかく高速な環境を用意しても、サイト構造上でできる高速化施策を怠ってはその性能を活かしきれません。
本記事ではWordPressサイトで効果的なサイトスピード改善の施策を、WordPress制作の専門的な目線で紹介します。
目次
画像の最適化
オフスクリーン画像の遅延読み込み
ページを表示した時、画面内に入っていない画像(オフスクリーン画像)を読み込まないことで、ページ全体のロード時間を短縮できます。
loading属性をimg要素やiframe要素に設定することで、ユーザーが画像の近くにスクロールをするまで、画像の読み込みが行われないようになります。
注意点
ファーストビューに含まれる画像に遅延読み込みを設定すると、LCPに悪影響をもたらすため、あくまでオフスクリーン画像のみ遅延読み込みを適用します。
WordPress標準機能で画像の遅延読み込み
WordPress標準機能のデフォルト設定では、記事一覧ページのサムネイルのうち、最初の3件以降に自動的にloading属性が付属します。件数をカスタマイズするには、以下のコードをfunctions.phpに追加します。
add_filter( 'wp_omit_loading_attr_threshold', function() {
return 6;// 6件に変更
});

EWWW Image Optimizerで遅延読み込み
プラグインEWWW Image Optimizerを使用すると、JSベースで画像の遅延読み込みが適用されます。管理画面の設定から、ファーストビューの高さ指定を必ず行います。

遅延ができないファーストビュー画像のファイルサイズは、次項の「画像ファイルのWebP化」にて軽量化しましょう。
画像ファイルのWebP化
画像フォーマットを次世代画像形式のWebPに変換することで、読み込み時間を短縮します。
WebP(ウェッピー)形式とは、Googleが開発した次世代の画像フォーマットで、JPEG / PNG / GIF の代替を目的として設計されています。高画質を保ちながら、ファイルサイズを小さくすることが可能です。
EWWW Image Optimizerを使用して、すでにメディアライブラリ内にある画像と、これからアップロードする画像をWebPに変換します。

実際の表示サイズに合った画像サイズを選択する
Webサイトの画像は、Retinaディスプレイを考慮し、実際の表示サイズ×2倍程度で表示するのが好ましいです。
例えば、記事一覧やサイドバーの数件のサムネイルなど、小さい画像表示の出力箇所で、サイズ指定がフルサイズになっていると、ネットワークリソースを余計に消費します。

WordPressで出力される画像サイズは「サムネイルのサイズ」「中サイズ」「大サイズ」「フルサイズ」の指定ができ、メディア設定からカスタマイズ可能です。
注意点として、指定したサイズはメディアアップロード時に適用されます。今までのメディアライブラリの画像サイズは変更されません。

画像サイズの指定は、サムネイル出力関数の引数や、画像ブロックの解像度にて指定できます。
サムネイル出力関数
<?php the_post_thumbnail('[引数を指定]'); ?>
| サイズ | 引数 |
|---|---|
| サムネイルのサイズ | thumbnail |
| 中サイズ | medium |
| 大サイズ | large |
| フルサイズ | full |
画像ブロックの解像度指定
画像ブロックを選択し、サイドバーのブロックタブから、解像度をプルダウンで選択します。

ページキャッシュプラグインの活用
ページキャッシュプラグインを有効化すると、WordPressの投稿とページを静的ファイルとしてキャッシュします。これにより、サーバーとの通信を削減し、サーバーへの負荷削減や表示スピードを向上することができます。
公式サポートフォーラムでは、Total Cache、WP Super Cache、Cache Enablerが推奨されています。機能を比較しつつ、サイトの用途に合った使いやすいプラグインを選ぶと良いでしょう。
なお、キャッシュプラグインを導入しても、サイト構成や更新頻度によっては効果が出にくいケースもあります。専門家に依頼したり、フォーラムをチェックしたりして、サイトに合った正しい活用方法のもと導入しましょう。
| プラグイン名 | 特徴 |
|---|---|
| W3 Total Cache | ・ページキャッシュだけでなく、データベース・オブジェクトキャッシュ、ブラウザキャッシュ、ファイル圧縮、CDNとの連携など多機能 |
| WP Super Cache | ・Wordpress提供会社の公式の人気プラグインで、初期設定はシンプル(推奨モードあり) |
| Cache Enabler | ・とにかくシンプルで軽いキャッシュプラグイン ・WebPや圧縮など高速化の補助機能あり |
クエリ呼び出しの制限
一覧ページやサブループなどで全件取得すると、立ち上げ当初は問題にならなかった構成でも、記事数が増えるにつれて一覧ページの表示が重くなるケースは少なくありません。
1ページに表示する件数の指定をし、ページネーションや検索機能をつけて、ユーザーが情報にアクセスしやすいサイトの構造を心がけましょう。
WordPress本体バージョンの更新
本体バージョンの更新には、効率的なリソース配信の施策が追加されることがあります。
例えば、前述したWebP画像をサポートしているのはWordPress 5.8以上からで、また、WordPress 6.9の新機能の中には、スタイルシートの読み込みに関する改善が含まれています。
サイト保守という観点の他にも、サイトスピード面での改善が行われることもありますので、定期的な更新を行うと良いでしょう。
PHPバージョンの更新
執筆時点で推奨されているPHP 8系への移行では、PHP 7系と比較してWordPress本体機能や、特定のプラグインにおいてパフォーマンス改善が確認されています。
WordPress本体バージョンとともに、PHP推奨バージョンの確認と定期的な更新を行いましょう。
※現在(2026年1月時点)PHPの推奨バージョンは8.3です。
WordPressの場合は、PHP 7.4から最新のPHPバージョンに移行するとともに、着実なパフォーマンスの向上を示しています。PHP8.4とPHP 8.5が最速の結果を出し、いずれも148リクエスト/秒前後で、PHP8.5がわずかに上回っています。
PHP8.2、8.3、8.4、8.5間のパフォーマンスは拮抗しており、大きな違いは見られませんでした。PHP 7.4で動作しているサイトをPHP 8.5にアップグレードすると、6.6%の改善が見られることがわかりました。
PHP 8.5の性能を比較検証─高速化でSEO・CVRがさらに強化
まとめ
WordPressを利用した動的サイトでは、コンテンツ管理がしやすい代わりに、速度低下はしょうがない、というわけではありません。
適切な施策を行えば、ユーザーへの快適なWebサイトの提供と、コンテンツ管理の利便性は両立可能です。
むしろ、WordPressサイトこそ高速化施策による恩恵が大きいとも言えるでしょう。
特に、運営を続けているサイトほど、定期的な見直しによる改善効果は大きくなります。


